「あがってしまう」を克服するには②

まずは「身体的な不安や緊張」に注目し、これを軽減させる方法からです。

大きく2つの方法があります。

【1】緊張状態からのリラックス

カウンセリングの世界では筋弛緩法として知られている技法です。

たとえば「肩の力をぬいて」とアドバイスされても、そう簡単に抜けるものではありません。

そのため、あえて一度強く緊張状態にしてみることをお勧めします。

肩なら、ぎゅっと肩に力を入れて、上に向けてぐぐっと上げてみましょう。そのままキープしてから、ストンと力を抜いて肩を落とします。

あごや口の周りなら、歯をくいしばったり、口の中で舌をぎゅっと上あごに押し付けて真一文字に閉じて我慢をする。そのままキープしてからすっと力を抜いてみる。

手のひらをグーの形にぎゅっとむすんで、キープしてからぱっと開いてみる。

このように意図的に身体を緊張させ、そこからストンとリラックスさせると、「身体の力を抜く」ことができます。

 

 

【2】フェイシャルフィードバック

トムキンス(1961)の古典的な実験で、心理学の世界では有名な説です。

人間の脳は、顔がリラックスしている(例えば笑っている)と、脳が錯覚を起こして「リラックスしているようだ」と認識すると言われます。それにより、脳や身体の不安や緊張を緩和させることができるというものです。

数多く存在するこの手の実験では、割りばしを口にくわえて、強制的に顔の筋肉を「笑っている状態」にさせるだけで、心拍数や皮膚電位反応、気分のポジティブさが良い方向に変化することが知られています。

割りばしを口にくわえるのもいいですが、顔をわざと笑ってみせて、「大丈夫」「何も怖くない」「きっとうまくいく」とわざとポジティブな言葉を発してみてはどうでしょうか。きっと、自分の言葉で自分が落ち着くのではないでしょうか。

武道の世界では、選手が一人で戦うことが多く、緊張や不安も一人で抱えることになります。
ましてそれが主将やリーダー格のような選手だと、周りの選手たちにも不安や緊張が伝わってしまうこともあります。
心の底からポジティブで、天然の精神の強さや明るさを持っている選手ばかりではないでしょう。

オリンピック選手でさえ、メンタルトレーナーについて、日ごろからこうした訓練を積んでいます。
テレビのまえで、あえて、意図的に強気な発言をすることも含めて、自分自身の緊張や不安を和らげる効果を持つのでしょう。

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