今回は、「選手の声をいかに拾うか」に焦点を当ててみます。

監督室や顧問室に呼び出して「思うことがあるなら言ってほしい」と伝えて、果たしてどれだけの選手が思いのたけを話せるでしょうか。
日ごろから、溜まりに溜まった思いがあり、言語能力の高い選手(作文を書くのが早い、しゃべるのが上手い等)で、なおかつ指導者との信頼関係が出来ている選手なら、これで話せるかもしれません。それだけの選手が、いったい何人いるでしょうか。

 

さて、話を聞くことを商売とする心理カウンセラーの世界には、面接のやり方についていくつか道筋があります。
今回はこれを参考に、スポーツの世界ではどのように応用できるか考えてみました。

 

①構造化された話の聞き方
聞いてみたいことは何でしょうか。
練習参加への想い?足りない技術?日頃の劣等感?気に入らない仲間や指導者?練習量の多い少ない?
構造化された話の聞き方の場合は、こちらで「聞きたいことリスト」を作ってしまうことがポイントです。
これをいっせいに配って書いてもらうのもいいでしょうが、可能なら指導者が直接選手から話を聞けるとベストかもしれません。ここを「面倒くさがらずにやろう」と思えるかが、もう既にコミュニケーションへの姿勢を問われると言ったら厳しすぎるでしょうか。
この聞き方の場合、できるだけ脱線せずに聞きたいことだけ聞きます。
また、「数字で表すとどのくらい?」など、数値化して聞いてみるのもよいでしょう。

 

②半構造化された話の聞き方
こちらは先ほどの①の、脱線が許されるタイプです。
いったん聞きたいことリストの用意はしますが、ヒアリングをしているうちに選手が熱を入れてたくさんしゃべりたいポイントが見つかるかもしれません。そうなったら、その部分をゆっくりしっかりと聞いてあげることができます。
限られた時間内で進めなければならないので、聞けなかった質問はそれはそれでOKです。
多くの指導者の方にとって、1対1で話を聞くなら、これが一番やりやすいのではないでしょうか。

 

③非構造化された話の聞き方
こちらは①②と違い、聞きたいことリストのようなものは用意しません。白紙の紙とペンだけ用意するイメージです。
選手が話したいことを話せるならそれに委ね、出ないようなら「指導者から話を引き出す」ような関わり方が必要です。
その意味で、かなり指導者の話題を引き出すテクニックが重視される聞き方でしょう。
選手のほうから「話を聞いてほしい」と来た場合も、とっさにこの形になることが多いかもしれません。
3つの中では一番色々な話題を拾い上げることができる話し方です。

 

今回は1対1で面接形式で話を聞くことをお勧めしましたが、知っておきたいルールを少しだけご紹介します。
①予め、このようなことを聞きたい、話し合いたいと予告しておく。
②時間と場所を決め、それを守る。
(練習中に急に呼び出されたり、長時間になったり、誰かが聞き耳を立てられる環境では、安心して話せません。)
③今回の話はどう使われるのか、誰まで共有されるのか、を先に言う。
④今回の話の内容によって、選手として不利益を受けたり、今後の扱いが悪くなることはないと約束する。
話し合いたい目的の共有をするのもお勧めです。

 

チーム全体での練習を見直したり、もっと力を入れたい練習が見つかったり、結束が強くなったり、信頼関係が生まれたりすれば成功ではないでしょうか。決して簡単ではありませんが、こうした経験を力にしていくのも、指導者やリーダーの役割と言えるでしょう。

 

次回はグループで行う場合について、ご紹介します!