心理学の世界には、学習心理学、スポーツ心理学、臨床心理学など、空手をはじめ武道全般に応用できる研究領域が広く存在します。

その世界の指導者たちにとっては当たり前の基礎知識も多々あるでしょうが、一般の練習生や子どもたちなどに、それを伝える機会が存在するかは別の問題でしょう。
少しずつですが、当サイトではこのようなテーマ(武道心理学・武道カウンセリング)に沿った紹介もしてみたいと考えています。

今回は「高原現象」について紹介します。
高原は、「プラトー」とも呼ばれます。

勉強をして成績が伸びたり、運動して体力がついたり、練習して技術がついて上手くなったりした経験は皆さんあると思います。

ところが、どんなものでもある程度まで進むと、どこかで成長がぴたりと「止まったような感覚」がすることがあります。戸惑いますよね。

人によっては、練習してもうまくならないと、「スランプ」に感じる人もいるかもしれません。焦りますよね。

 

実は、これが「高原現象」と呼ばれます。

図をご覧ください。理想は、練習すればするほど上達する自分の姿・・・といきたいところですが。
現実には高原(プラトー)というものが間に入り、何を練習しても上達しない、成長しないと感じる時期が存在します。

 

興誠館空手の練習でもよく見られます。

最初は楽しいものです。何をやっても新しい経験で、学ばなければならない知識は山ほどあって、練習すればするほどうまくなる時期があります。
この時期の練習は、とても楽しいものです。初心者の白帯の方や、中級者くらい(青帯とか)までは、この時期ではないでしょうか。
私もこの時期の楽しさは、自分の成長を自分で感じられる幸せな時間だったと思い出します。

これが高原期に入ると、急に面白くなくなります。どうしても我慢の必要な時期になります。

学ぶことも知っている(できるかは別)ことばかりになり、なんだか練習をしててもうまくならない気がして、前ほど楽しくなくなります。
空手でいうと、茶帯や初段あたりの方は、経験がある(あるいは経験している最中)かもしれませんね。
例えばこの時期に集中して練習していることが多い、「後ろ回し蹴り」や「空中二段蹴り」などで心理的な壁にぶつかる方も多いのではないでしょうか。

 

受験勉強をする受験生の皆さんや、他のスポーツをやっている皆さんでも、これは誰もが体験するものだと思います。子どもでも大人でも同じです。

 

このような事態を打破するためには、練習内容を工夫したり、「そういうものがある」と自覚したり、友達や先輩や師範に苦しさを共有してもらったりする方法があります。

ただ、ここでは武道心理学の視点から、あえて武道らしい取り組みを紹介させてください。

どんなものでも壁があり、じっと我慢する「時期」はあります。
ここでやめてしまえば、せっかく新しく始めたことも、ここまで積み重ねたものも、全部台無しですね。全部、ゼロに向かって消えていくだけです。

もう一度、図を見てください。

高原のその先に、また成長できる時期が存在します。その壁は、努力して努力して、もがきぬいた先に必ず突破できるものです。

 

武道をやる者として、壁にぶつかったから終わりではなく、自分が今こそ成長している時期だと自覚して、じっと静かに練習に取り組む。

そんな経験を積み重ねること、そんな経験を経て突破できた先に、興誠館が大事にする「精神的な強さ」や「精神的な成長」があるのではないでしょうか。

 

 

どうか皆さん、苦しいときこそ、じっと静かに練習しながら、日々の練習を怠らないでください。

その時期をどう乗り越えたかで、その先の成長があるかどうか、人間的に大きくなれるかどうか、後で違う結果が待っています。

 

苦しいときは道の拓けるときである。

 

皆さんの努力の積み重ねが、大きく花開くことを祈っています。